ヴォルフ「隠棲」

今日試験で歌ってきました。ヴォルフの中で最も有名な一曲。ヴォルフは誕生日が一緒なんです。このブログのタイトルである「313」→3月13日。なので身近に感じ…るなんておこがましいことは言いません。(ちなみに没1903年は瀧廉太郎の没年と同じ。)マーラーの友人であったヴォルフは、ケン・ラッセル監督の映画「マーラー」の中で、檻の中に裸で入れられているという姿で映し出されています。発狂して死んでいく、という尋常ならぬ人生を送った人なのです。だからこそとても濃厚で、でも信じられないほど美しい世界の曲を書き上げています。隠棲では歌の旋律とピアノの旋律が同じようで違い、違うようで同じなのがとても印象的です。
詩はメーリケ。よく共感していると言う人を見ますが、部分部分は良いとしてもそう簡単に全てに共感してはいけないと思います。どんな体験をすればこんな詩が書けるのか。そしてこの情緒不安定な詩を読んで、どんな気持ちでヴォルフは曲を書いたのでしょうか。
一見簡単な旋律の為に大学受験でもよく課題曲に使われています。私も今回はほとんど声の出し方と言葉の運びに集中してしまいました。けれど20代の多感な時期にこの曲を歌えたことを、嬉しくも恐ろしくも思います。