Richard Strauss(1864-1949)作曲 Du meines Herzens Krönelein Op.21-2 Ges Dur

詩はFelix Dahn(1834-1912)による。
1889年4月7日ミュンヘンにて完成?
この図書館の本の情報が正しければ24歳11カ月くらいの作品。


リヒャルト・シュトラウスと言えば後期ロマン派で少しおしゃれめ、決して聞き苦しくない、前衛的だけども美しい和音を使う人というイメージ。よく考えつくなあ…と感心してしまうほどの和音を使い、よく考えつくなあ…と感心してしまうほどの自然な転調を多用する。


この"Du meines Herzens Krönelein Op.21-2"も、【Ges→As→Ges→b moll→es mollを通ってB→Cesを通ってGes→as moll→Ges→D→Cisかと思ったらDesを通ってGes】という、Gesを中心に私がざっと数えるだけで9つの調を通る(もっとかも)。特にシャープ系からフラット系にいつの間にかうつる技法は本当に素晴らしい。


とてもゆったりとした4分の2拍子で、最初は16分音符の体感速度がゆっくり。けれど素直な詩に素直に呼応した音符たちは自由に加速減速を続ける。32分音符単位での細かい音符と表現が、虹のような転調と共に緻密。
ざっくり分けると「Du」「andere(andern)」の違いを、ピアノパートでのレガートとスタッカートで明確に示していて、たとえドイツ語が分からない人でも、曲の表情を読み取りやすい。
細かい表情としては、高い音にアクセントが置かれていて、更に強弱記号はピアノの場合もあり、高度な技術も要する。それはまるで静かな心にきらめく一筋の光のよう。
そして曲の中でただ一つだけ、比較的低い音のFisにアクセントがついている。その言葉は「allen(全ての)」。あなたは「どんな」ところでも価値がある…としみじみピアニッシモで語っている。
もしかしたら恋は盲目という言葉のように、惚れたばかりの時期の詩なのかも?


この約5年後の1894年、R.シュトラウスバイロイト音楽祭ワーグナーのオペラ「タンホイザー」を指揮し、そこでエリーザベト役を歌っていたソプラノ歌手パウリーネとたちまち恋に落ち結婚。きっと自身の歌曲に自分の心情を重ねたに違いない。



なんと、偶然タンホイザーのエリーザベトの歌うアリア"Dich,teure Halle"と共に明日試験で歌うわけで(笑)